王貞治氏 (福岡ダイエーホークス監督)
 「荒川博野球塾」がこういう形でみなさんに、多くのみなさんにご賛同を得まして設立されたことを本当に
嬉しく思うと同時に、皆様には御礼申し上げたいと思います。
 先ほど長嶋さんのお話にありましたが、やはり荒川さんの野球に対する情熱、それからもう一つ私に言
わさせていただきますと純粋さということがあると思います。ただ一筋野球の技術を追い求めて進んでき
た人生だったのではないかと思いますが、今日早稲田大学のみなさん、早稲田大学野球部のみなさん、
アマチュア野球の関係のみなさん、またプロ野球関係の皆さんと、本当に多くの皆さんにこうやってお集
まりいただいて本当に荒川さん、心から喜んでられるのではないかとそういう風に思います。
 私は昭和37年から45年まで指導を受けました。もちろん、早稲田実業時代、高校生のときにも指導を
受けております。また中学2年のときに初めて荒川さんとお会いしまして「早稲田実業にすぐ入れ。」と言わ
れました。それくらい荒川さんとの出会いから今日までというのは本当に色々なことがありましたし、本当
に長い年月であります。
 先ほど海部先生からお話がありましたが、ボールを投げるというのは小さいうちは負担になるということ
もありますけども、まずストレートがなかなか入りません。ストレートが入らないということは野球としては
進まないわけですから、これは面白くないのですね。またバッターのほうも投げてきた球というのはなかな
か小さい子は当たりません。これも面白くないです。そういった意味でティーボールの素晴らしさというの
が今の言葉でご理解いただけるんじゃないかと思います。ああいう形でやっていれば我々ももっともっと
我々の時代の子供たちも野球に熱中した子供たちが多かったんじゃないかと思います。
 21世紀に入ります。ますますスポーツが多様化しておりまして、われわれ野球界のほうもサッカーとか
バレーボール、その他テニスとかゴルフだとか、スポーツが色々な意味で多様化しておりますので、野球
界というのは危機感を持っております。そういった意味で、底辺を広げるという意味でこのティーボールと
いうのはすごいこと、大切なものではないかとそのように思います。そういった情熱を持ってティーボール
を広げようと一生懸命に頑張っておられるみなさんに、こういう形で荒川さんの野球に対する情熱、また、
指導力というものを認められたということを弟子の一人として大変嬉しく思います。
 とにかく実際に荒川さんの指導を長く受けているのは私が一番でございます。毎日毎日これだけ何で
やるんだろうって首をかしげながら何となくついてやっていくという形でスタートしたのが、結果が出るよう
になってからだんだん自分自身もその気になっていきました。荒川さんに「今日は終わってもいいよ。」と
言われても「もう少しお願いします。」というようなことにもなってまいりました。やはり荒川さんが私の気持
ちを理解して「こういう形で言ったら今日はのってこないな。」というときは違う方からいろいろ問いかけてく
れたりとかして、常にそういう気にさせてくれてくれました。そういう指導の中で、技術を教えるということ
よりも選手をその気にさせるという点では、荒川さんの指導というのは素晴らしいと思います。そういった
ことがみなさんのご賛同を得ているのではないかとそのように思います。
 70歳になって、荒川さん自身もこの年でということで最初お断りしたという話も聞きました。でも70になっ
て新たなこういう取り組みができるということは、こんな幸せなことはないんじゃないかとそんな風に思い
ます。荒川さんの野球に対する気持ちは変わらないと思いますので、どうぞご来場の皆様、どうぞ色々
な形で荒川さんを支えてあげていただきたいと思います。そして荒川さんの持っている素晴らしきものを
世の中の多くの子供たち、また、指導者のみなさんにも色々とみなさんに荒川さんを引き出していただ
きたいと、それが日本の野球界の将来を大いに支える意味でも大きな意味があるのではないかとその
ように思います。
 今日は本当にこんなに多くの皆様にお集まりいただいて、荒川さんと荒川さんの奥さんも壇上に立っ
て、やはり今まで野球を一生懸命やってきて良かったな、と思われてるんじゃないかと思います。でも
これからますます気持ちを新たにして、頑張っていただきたいとこのように思います。本当に今日は
ありがとうございました。荒川さん、おめでとうございます。
(2001年1月20日)