1964年
6月5日(対広島)
 昨夜バットスイングに来た。
 王がバットスイングに来るときは非常に悪いときである。
 昨夜のバットスイングでは、相変らず一本足になったときに自分は自分、相手は相手で別々になって
いるのでこれでは打てるわけがない。
 やはり合気が出なければ駄目だ。
 お互いの呼吸がぴったりしなければ駄目なのにてんでばらばらでは打てるわけがない。
 打者なら投手と呼吸をピタリ合わせてそれを自分の方へ引き込まなければ絶対に打てるものではない。
 このような状態になるにはどうしても良い姿勢が必要なのである。
 昨夜のスイングでは左足に欠点があり、バックスイングの際に左足が流れてしまうので、いざ打つよう
になっても力を入れるときに力が入らず瞬発力がなくなってしまう。
 今晩のゲームでは昨夜の欠点が完全に近いほど直ったのでライトへ弾丸ライナーが飛んだのだと思う。
 王もケガをするたびになにか野球の技を掴み一日一日と成長して行くような気がする。
 今年は三冠王のチャンスでもあり、本人も相当腹をしめてかかってきている。