1964年
3月23日(練習休み)
 夜、バットスイングに来た。
 シーズン開幕から好調なスタートをきったので、新聞社の連中が大騒ぎして、なにかと忙しいらしい。
 だがそのために自分のコンディションを崩してはなんにもならない。
 練習のときは何をおいても練習が第一と心掛けねばならぬ。
 このごろの王は、練習をすれば必ず上手くなるということが分かり、練習が楽しくなってきたようだ。
 今日なども徳武(国鉄)の例を取って、徳さんも夜荒川さんの家へ習いに来れば良いのにねと言っていたが、人のことにまで気を配るようになったから相当なものだ。
 バットスイングも一気に30本振れるようになったからたいしたものだ。
 それだけ疲れなくなったことと、ボールに当たるところだけ力が入るようになったからだ。
 本人も前だったら、10本振ると体のバランスを失い、疲れ、ポイントで力が入らず、バットスイングその
ものが苦痛だと言っていた。
 だが、今は楽しいのだから上手くなるのは当然だ。
 今心掛けていることは普通自然体に立った姿勢を(スタンス)ちょっと狭めて立ち、バットは出来るだけへその近くに置くことだ。
 それとインパクトの場所が昨年よりずっと前になったので、ボールは飛ぶし、そのボールが絶対にファ
ウルにならないのだ。
 また、ボックスに入ったとき、今までだったらいろいろボールの種類も考えたが、今は自然に構えられ
るようになった。
 いつでもボールが来たら打てば良いという心境らしい。
 この気持ちを忘れずにいたら、必ず本年は誰もが考えられないような成績が上げることが出来る。