1964年
3月20日(開幕日 対国鉄)
 田宮評論家、佐々木信也氏等と一緒にみていたが、あまり打つので後ろから文句のつけようがなかった。
 左投手から練習にせよあれだけ外野席に叩き込めば苦労がいらない。
 この調子がちょっとしたことからスランプになるのだから分からない。
 対金田なので今日は打てないのではないかと思ったが、やはり調子が良いときはどんな一流選手でもカモに見えるのかもしれない。
 初回は悪かったが、二打席目にランナーを一塁において、ストレートの低めを見事場外ホームランとしたのは素晴らしいの一言につきる。
 私はあまり弟子をほめることはないのだが、ここのところ王のホームランは昨年と違い、150本くらいのホームランになるので、だいぶ距離が遠くへ飛ぶようになった。
 これは毎日激しい素振り練習のたまものだと思う。基本の繰り返しが瞬発力になってあらわれるのだ。
 一年目でのバットスイングでは、1回に7から10本くらいしか振れなかったのが、二年目になったら17、8本振れるようになり、三年目の今年などは1回に25本くらい振れるようになり、本当に呼吸力が出てきた。
 この呼吸力は練習すればするほど、力がつくのでこの方法でやれば、年齢に関係なく、力が出てくるものである。
 まだ一般の記者にはどうして王がこんなに飛ばすのか聞かれても本当の答えは出していないが、この呼吸力をマスターしたからこそ、一般の人が考えられないほど遠くへ飛ぶのである。
 「合気道の呼吸法は何の道にも通じるということが分かった。これが私の合気打法なのだ。」